
ハウスクリーニング前の基本準備
初めての方ほど「何をどこまで片付ければいい?」と迷いやすいものです。事前準備のコツは、プロの作業動線を邪魔しないこと、素材を守る情報共有をすること、そして当日の判断を減らすことの3点です。無理なくできて効果の高い準備を、始める順番に沿って解説します。
1. 片付けは“作業面”から最小限でOK
・洗面台やキッチンの小物を一時移動(洗剤、歯ブラシ、調味料)
・床の衣類・おもちゃ・書類は箱にまとめて壁際へ
・浴室棚のシャンプー類はカゴへ移し、濡れても良い場所に退避
2. 壊れ物・貴重品は先に避難
・ガラス製の置物や陶器は別室へ
・ジュエリー、印鑑、現金類は鍵付きの場所に保管
・PCや外付けHDDなど精密機器はカバーを
依頼範囲と優先順位を決める
「全部おまかせ」だと、現場確認に時間がかかり期待値もズレやすくなります。限られた時間の中で満足度を高めるには、譲れない箇所を先に決め、次点を“時間が余れば”に振り分けるのが近道です。家族内で優先度をすり合わせ、当日の指示を一本化しましょう。
3. 仕上げイメージの共有
・鏡ウロコは“完全除去”か“目立たなく”か
・レンジフードの分解範囲とガタつきチェックの希望
・水栓は光沢優先か傷抑制か(研磨強度の目安)
4. 優先度のリスト化
A:絶対に実施(浴室カビ、レンジフード、トイレ尿石)
B:時間があれば(窓・サッシ、ベランダ)
C:今回は見送り(床ワックス、網戸全面)
当日の段取りと設備確認
当日は、清掃の品質に直結する“水・電気・駐車”の3条件を整えるとスムーズ。集合住宅のルールや管理人さんへの一言連絡もトラブル回避になります。予定時刻の10分前に最終チェックをしておくと安心です。
5. 水・電源・換気の確保
・水場(浴室・洗面・キッチン)が使える状態か
・延長コード用のコンセント位置を案内
・窓が開けられない場合は換気扇の作動確認
6. 駐車・搬入ルート
・敷地内駐車が不可なら近隣コインP情報を共有
・台車搬入のエレベーターサイズ/階段幅
・管理規約の騒音時間や養生ルール
安全・衛生に関する準備
薬剤や高圧洗浄を使う場合もあるため、家族・ペット・近隣への配慮を決めておくと安心です。アレルギーや持病がある方は、薬剤の種類や無香料対応の可否を事前に相談しましょう。
7. ペットと小さなお子様の動線設計
・別室待機の段取り(ゲージ・ベビーサークル)
・脱走・接触防止の簡易柵
・音に敏感な子にはヘッドホンやお気に入りグッズ
8. アレルギー・臭い・素材の申告
・塩素系/酸性洗剤の使用可否、無香料希望の有無
・天然石(大理石)・無垢材・コーティング床などの有無
・過去に薬剤で体調不良が出た事例があれば共有
事前の情報共有で仕上がりを高める
些細な情報でも、プロの段取りや薬剤選択に影響します。写真・動画・テキストの3点セットで送ると、齟齬が減り満足度が上がります。
9. 現状写真・動画の送付
・鏡、コーキング、換気口、五徳、排水口などを接写で
・“濡れている状態”と“乾いている状態”を記録
・におい・ベタつきなど感覚情報もテキストで補足
10. 清掃履歴・故障情報
・市販コート剤/ワックスの有無(剥離判断に影響)
・部材の欠け・ヒビ・水漏れ跡、電装の不調
・賃貸の原状回復ルール(素材ダメージの取り決め)
オプションと同時依頼の考え方
同時依頼は、洗剤の反応待ちや分解の段取りを重ねられ、所要時間を短縮できる場合があります。予算と時間の上限を先に決め、追加は“この範囲で”と合意しておきましょう。
11. 効率が良い組み合わせ
・レンジフード+キッチン一式
・浴室+洗面台+換気口
・窓・サッシ+網戸+ベランダ排水
12. 事前見積もりで決めておくこと
・延長料金の単価と上限時間
・追加作業の合意方法(口頭/チャット/写真OK)
・再清掃や仕上がり保証の条件(期限・対象範囲)
水回り別の準備ポイント
水回りは汚れの種類が多く、素材もデリケート。浴室・キッチン・トイレ・洗面台の4箇所について、準備の具体例を簡潔にまとめます。
15. 浴室
・シャンプー類はカゴに集約
・換気扇フィルターの取り外し可否を確認
・パッキンの黒カビの深さを写真で共有
16. キッチン
・調味料や小型家電は一時退避
・IHかガスか、グリル有無、整流板の形状
・シンクの水切りラックを外しておく
17. トイレ
・足元マットやカバーを外す
・温水洗浄便座の型番を控える
・尿石が強い箇所の写真を共有
18. 洗面台
・化粧品や電動歯ブラシの充電スタンドを外す
・排水トラップの注意書きがあれば写真で
・“触れないでほしい”ゾーンを明示
トラブル予防とコミュニケーション
作業が始まると現場判断が増えます。連絡手段と意思決定フローを最初に決め、写真共有を前提にすると齟齬が減ります。不在対応のルールも最初にすり合わせましょう。
19. 連絡手段の固定化
・電話/チャット/対面のどれを優先か
・写真で都度確認が必要な箇所と任意で進めてよい箇所
・不在時の入退室ルール(鍵の受け渡し、見守りカメラ)
20. エビデンスの残し方
・Before/Afterの保存先(共有アルバム・クラウド)
・作業報告書の形式(テキスト/テンプレート)
・素材ダメージや経年劣化の“事前申告と了承”の記録
アフターケアの準備
仕上がりを長持ちさせるには、清掃直後の扱い方が大切。乾燥時間やコーティングの硬化時間を守り、日々のミニメンテを取り入れることで、次回の清掃費や所要時間も抑えられます。
21. 乾燥・使用再開の目安
・浴室は使用前に“壁と床を冷水で流す→水切りスクイージー”
・キッチンはシリコンヘラで水気を集め、マイクロファイバーで拭き上げ
・トイレは洗剤残留がないかを水だけで流してから使用
22. 日々のミニメンテ3分ルール
・“ついで掃除”を家族で分担
・週1の重曹パックやクエン酸スプレーで水垢予防
・排水口はヘアキャッチャーを替えるだけでも詰まり軽減
まとめ:準備は“片付け+情報+段取り”の三位一体
ハウスクリーニングの準備は、作業面を空ける“片付け”、素材や体質・希望を伝える“情報”、当日の動線や連絡を整える“段取り”の三位一体で成果が変わります。前日までにこの記事のチェックを済ませ、当日は優先順位と連絡手段を共有できていれば、プロの力を最大限に引き出せます。迷ったら「今回はここまで。余ればここも。」で判断をシンプルにしましょう。
